トラックバイアス&血統研究

トラックバイアス(馬場のクセ)と血統を研究

【ブラックタイド】種牡馬の特徴 早熟気味で器用な産駒が多い(2023,8,11更新)

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あのディープインパクトの全兄として知られるブラックタイド。現役時代は屈腱炎もあり重賞はスプリングステークス(GⅡ)を優勝したのみだが、引退後に種牡馬入りしてからは歴史的名馬のキタサンブラックを輩出するなど人気種牡馬となっている。

ここでは、ブラックタイド産駒の特徴を紹介する。

 

【目次】

 

 

 

 

 

血統

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クロスなし

 

父は説明不要のスーパーサイヤー・サンデーサイレンス。

母はドイツの芝2400mのGⅠを優勝したウインドインハーヘア。

母父はイタリアの芝2400mのGⅢを優勝したAlzao(アルザオ)。産駒は欧州のマイル~12ハロンを中心に活躍馬を多く輩出している。

 

半姉にはアメリカの芝8.5ハロンのGⅢを優勝したVeil of Avalon(ヴェイルオブアヴァロン)。

全弟には日本の至宝・ディープインパクト。

同じく全弟には種牡馬入りしたオンファイア。

半弟には種牡馬入りしたトーセンロレンス。

 

近親の一部には

  • ウインクリューガー(NHKマイルカップ/GⅠなど重賞2勝)
  • ゴルトブリッツ(帝王賞/GⅠなど重賞4勝)
  • ソリッドプラチナム(マーメイドステークス/GⅢ)
  • アドマイヤミヤビ(クイーンカップ/GⅢ)
  • レイデオロ(日本ダービー/GⅠなどGⅠ2勝)
  • Lahudood(BCフィリー&メアターフ/米GⅠなどGⅠ2勝)
  • Nayef(プリンスオブウェールズステークス/英GⅠなどGⅠ4勝)

などがおり、他にも多数活躍馬がいる。

3代母Highclere(ハイクレア)は英1000ギニー(GⅠ)や仏オークス(GⅠ)などを優勝した名馬だが、それ以上に世界的名牝系の祖として知られている。

その名牝系にサンデーサイレンスが配合され、中距離のスピードとスタミナに優れたブラックタイドが誕生した。

 

 

現役時代

デビューは2003年12月7日、阪神芝2000m。スウィフトカレントなど後に6頭が勝ち上がる好メンバーが揃ったが、単勝1.7倍の圧倒的1番人気に支持されると2着に3馬身2分の1差をつけ快勝。

2戦目はラジオたんぱ杯2歳ステークス(GⅢ)を選択し単勝1.4倍の1番人気に支持されたが、コスモバルクの4着に敗れ2歳シーズンを終える。

3歳初戦は若駒ステークス(OP)に出走し、単勝1.2倍の圧倒的1番人気に応え優勝。その勢いのままきさらぎ賞(GⅢ)にも出走したが、マイネルブルックの2着に敗れる。

次走は皐月賞の前哨戦・スプリングステークス(GⅡ)を選択。これまでとは違い最後方待機し、脚をためて他馬をごぼう抜きし重賞初制覇。

本番の皐月賞(GⅠ)では2番人気に支持されたが、スタートで後手を踏み後方のまま見せ場なく16着に大敗。その後、屈腱炎を発症し約2年間の休養に入る。

5歳になり復帰。ダート、芝中長距離とさまざまなレースに出走したが届かないレースが続き、勝利を挙げられないまま7歳で引退することとなった。

出走した距離は1600m~2500m。連対した距離は1600m~2000m。主に中距離に出走し、先行や後方一気など脚質が定まらなかったが、上がりが掛かるか長く脚を使える展開になると好走した。

引退後はブリーダーズ・スタリオン・ステーションにて種牡馬入り。初年度産駒から重賞勝利馬を輩出するなど順調な滑り出しとなっている。

 

 

主な勝ち鞍

  • スプリングステークス(GⅡ/2004)

 

 

代表産駒

  • 2010年産駒

・テイエムイナズマ(デイリー杯2歳ステークス・GⅡ/2012)

  • 2011年産駒

・マイネルフロスト(毎日杯・GⅢ/2014)

  • 2012年産駒

・タガノエスプレッソ(デイリー杯2歳ステークス・GⅡ/2014)

・キタサンブラック(ジャパンカップ・GⅠ/2016、他GⅠ6勝、重賞計10勝)

  • 2014年産駒

・ライジングリーズン(フェアリーステークス・GⅢ/2017)

  • 2019年産駒

・フェーングロッテン(ラジオNIKKEI賞・GⅢ/2022、2023年7月末現在)

 

 

 

 

 

ブラックタイド産駒の特徴

距離適正

若駒戦、芝

2012,6,1~2023,5,31

 

古馬、芝

2013,6,1~2023,5,31

 

おおむね1400m前後の短距離型と2000m前後の中距離型に分かれる

牡馬は2000m前後の中距離型が多い。代表産駒のキタサンブラックやマイネルフロストが良い例だろう。デビューはマイル前後の場合が多いが、使われて行くうちに距離を伸ばし2000m前後が主戦場となる。

一方牝馬は1400m前後の短距離型が多い。代表産駒のライジングリーズンや六甲ステークス(OP)を優勝したアスカビレンが良い例だろう。2000m前後やそれ以上で走らないこともないが、あまり長い距離は向かないようだ。

母父の血統もあまり当てにならない。代表産駒のキタサンブラックは母父サクラバクシンオーだし、2000mの距離で優勝したことがあるアスカビレンは母父スウェプトオーヴァーボードである。牝系の血統は気にせず馬の特徴で距離を判断したほうが良さそうだ。

馬場はどちらかというと重い方が走る傾向だ。キタサンブラックは近年稀に見る不良馬場の天皇賞・秋(GⅠ)を優勝したし、他にも重馬場が得意な産駒が多い。あくまでも産駒を見なければいけないが、高速馬場よりは渋った馬場の方が得意である。

 

若駒戦、ダート

2012,6,1~2023,5,31

 

古馬、ダート

2013,6,1~2023,5,31

 

ダートは1800mが中心である

短距離でも走らないこともないが、できれば1400mは欲しい。しかし出走数や勝利数は1800mが多くなっている。

ただ、1900m以上になると出走自体が少なくなり、2400m以上の勝ち鞍はない。基本的には芝向きの産駒が多いため、ダート長距離ではスタミナとパワーが不足しているのだろう。

馬場状態の成績はあまり変わらないが、若干やや重の勝率が高い。しかし単勝回収率で見ると、良が83%、やや重が78%、重が62%、不良が36%となっており、穴を狙うのであれば良馬場がいい。

 

 

馬場適正

若駒戦、芝とダートの割合

2012,6,1~2023,5,31

 

古馬、芝とダートの割合

2013,6,1~2023,5,31

 

データのみで見ると芝ダート兼用の評価となるが、上級条件を見ると芝が中心である。

ブラックタイド自身の現役時代のように、出世する馬はほぼ芝となっている。ただ、ブラックタイド産駒は大型馬が多く、スピード不足でキレない馬はダート替わりで穴をあける場合が多い。

基本的には芝馬が多いが、大型馬のダート替わりには注意したい。

 

 

コース適正

若駒戦、芝

2012,6,1~2023,5,31

 

古馬、芝

2013,6,1~2023,5,31

若駒戦と古馬ではデータが違う部分が多いため分析が難しいが、右回りが得意で左回りが苦手、坂が得意という傾向がある。

得意コースの上位は、阪神芝1400mと1800m、小倉芝1200mとなっている。阪神芝1400mと小倉芝1200mは牝馬の好走が多く、阪神芝1800mは牡馬も牝馬も好走が多い。

苦手コースは、新潟外回り、中京芝2000mとなっている。ブラックタイド産駒はキレる脚がなく逃げ先行押し切りタイプが多いため、差しが決まりやすかったり上がりが速いコースは苦手なようだ。特に中京芝2000mは勝率2.6%、単勝回収率39%と散々な結果となっているため注意したい。

 

若駒戦、ダート

2012,6,1~2023,5,31

 

古馬、ダート

2013,6,1~2023,5,31

ダートは得意不得意がはっきりしている。

得意なコースは京都ダート1800mである。勝率は13.1%で他と比べても頭ひとつ抜けて高く、単勝回収率は233%となっている。特に単勝7倍以上で穴をあける場面が目立つ。

苦手なのは札幌、小倉と、京都ダート1200mである。札幌はのべ82頭が出走しいまだに勝ち鞍を挙げていない。小倉は勝率4.9%で単勝回収率は22%とかなり苦手な競馬場だ。そして京都ダート1200mはのべ52頭が出走し勝ち鞍はなし。京都は1400mと1800mは得意な傾向で、1200mと1900mは苦手な傾向となっているため注意したい。

 

 

牡牝の勝利数の違い

若駒戦

2012,6,1~2023,5,31

 

古馬

2013,6,1~2023,5,31

おおむね平均的な数字なので牡牝の違いに特徴はない

ただ、芝だと牡馬と牝馬の勝利数はほぼ同じだが、ダートは牡馬の方が倍近く多い。これはおそらくダートで走る馬は大型馬が多いからだろう。大型馬で切れる脚が使えずバテない馬のダート替わりに注意したい。

 

 

 

 

 

クラス別勝利数

2012,6,1~2023,5,31

 

ダート

2012,6,1~2023,5,31

 

芝は1勝クラスの勝率が低く、クラスが上がると勝率も上がる。これはブラックタイド産駒のキレないがバテないという特徴が表れている。下級条件はスローペースが多いためキレ負けする場面が目立つが、上級条件になるとペースが速くなるためキレ負けすることが少なくなる。

ちなみに、ブラックタイド産駒は重賞を15勝しているが、そのうち10勝がキタサンブラックによるものである。

ダートの勝ち鞍のほとんどが未勝利と1勝クラスだ。未勝利や1勝クラスを勝ち上がると2つの道に分かれることが多い。1つは芝に鞍替えすること、もう1つは上級条件で通用せずに地方へ転籍することである。基本的にはダートの上級条件をバンバン輩出するタイプではないため、2勝や3勝クラスが壁になることが多い。

ちなみに、ブラックタイド産駒はダートの重賞優勝馬はまだなく、OPEN勝ちが2頭いるのみである。

 

 

母父の血統

若駒戦、芝

2012,6,1~2023,5,31

 

古馬、芝

2012,6,1~2023,5,31
ノーザンD系=ノーザンダンサー系  ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

全体的に見るとナスルーラ系との相性が良く見えるが、それはキタサンブラックの母父がナスルーラ系のサクラバクシンオーだからである。キタサンブラックを除くと他とあまり変わらないくらいの数字になってしまう。

比較的相性がいいのはミスタープロスペクター系だ。母父キングカメハメハは重賞馬が2頭いるし、母父スウェプトオーヴァーボードは六甲ステークスを優勝したアスカビレンを輩出している。あまりガチガチのダート血統とは相性がよくないが、芝馬も輩出しているミスタープロスペクター系とは相性が良い。

他にもロイヤルチャージャー系のロベルト系との相性が良い。ロベルト系全体の勝率は6.3%とそこそこだが、代表産駒のマイネルフロストを輩出しているように出世することが多い。

相性があまり良くないのはノーザンダンサー系である。普通はこの血統データを出すとノーザンダンサー系の勝利数が一番多くなるものだが、今回は若駒戦も古馬も少ない。特に全弟のディープインパクトと相性が良いクロフネ、フレンチデピュティ、Storm Catとの相性が悪い。ディープが亡くなってディープ用の肌馬の結構な数がブラックタイドに流れたようだが……心配である。

全体的に見ると、芝ダート兼用の血統とは相性がよく、ガチガチのダート血統や淡白な早熟血統とは相性が悪い傾向となっている。

 

若駒戦、ダート

2012,6,1~2023,5,31

 

古馬、ダート

2012,6,1~2023,5,31
ノーザンD系=ノーザンダンサー系  ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

ダートもミスタープロスペクター系との相性が良い。勝利数が多く勝率も高く、しかも上級条件の多くがミスタープロスペクター系である。

相性が悪いのはノーザンダンサー系の中でも、欧州で活躍馬を多く輩出する血統だ。特にNijinsky(ニジンスキー)系の勝率は2.2%とかなり低くなっている。

全体的に見てもエルコンドルパサーなど欧州血統が強いタイプとの相性が良くない。

 

 

成長度

2012,6,1~2023,5,31

意外と仕上がりが早い傾向である。レースが上手く器用な産駒が多いため、早い時期に勝ち上がることができる。しかも、メンバーが手薄な2,3歳の重賞やOPENも勢いそのまま勝つケースが多数見られる。

しかし、短距離が中心の産駒は早熟傾向が強く、古馬になると伸び悩むタイプが多い。

中長距離が中心の産駒も早い時期に勝ち上がるが、その後は伸び悩むことがある。しかし、使われながら徐々に力を付けて、4,5歳になって出世するパターンがチラホラ見られる。

ただ、全体的に見ると6歳以上は不振なので早熟傾向と言える。

 

 

ブラックタイド産駒の特徴まとめ

  • 芝の距離適正は1400m前後の短距離型と2000m前後の中距離型に分かれる
  • ダートの距離適正は1800mが中心
  • 馬場適性は芝ダート兼用だが、上級条件は芝がほとんど
  • 芝のコース適正は右回りが得意で左回りが苦手、坂が得意
  • ダートのコース適正は京都ダート1800mが得意
  • 血統はミスタープロスペクター系と相性が良く、ノーザンダンサー系とはあまり良くない
  • 成長度は仕上がりが早く早熟傾向

 

 

個人的に考えるブラックタイド産駒の特徴

ブラックタイド産駒の芝の得意なバイアスは

  • 馬場    軽い、やや軽い、標準、やや重い、重い、極悪
  • 上がり   速い、やや速い、標準、やや遅い、遅い、極悪
  • 枠     超内、内、フラット、外、超外
  • 直線の伸び 内、やや内、フラット、やや外、外
  • 前後    超前、前、展開次第、差し、超差し

と想定している。

馬場は軽くても良いが、どちらかというと重い方が良い。代表産駒を見ると分かりやすいが、キタサンブラックは不良馬場の天皇賞・秋を優勝、マイネルフロストやライジングリーズンは馬場がタフになる冬~春に重賞を優勝している。パンパンの高速馬場よりも多少渋ったり荒れた方が実力を発揮しやすい。

上がりは遅い方が良い。スタートが上手く器用な産駒が多いが、キレる脚を使える産駒が少ない。勝利パターンもスタート良く逃げ先行し、そのまま押し切るケースが多い。決め手比べよりも緩みないペースのレースで好走する。

枠は、スタートが良いためあまり気にしないが、どちらかというと内枠の方が良い。器用な産駒が多いため内枠の方がレースがしやすいようだ。

直線の伸びは内伸びの方が良い。器用でキレない産駒が多いため、上手く逃げ先行して内伸び馬場でそのまま押し切れるバイアスが得意。

前後は前有利の方が良い。上記の通りなので、差し馬が届きにくいバイアスの方が好走できる。

基本的には逃げ先行押し切りで優勝することが多いが、決め手を使える産駒もいる。ただ、ディープインパクト産駒のようなキレキレな脚を使うというよりも、上がりが掛かった中で差すタイプが多い。全弟のディープインパクトとは産駒のタイプがまったく違うので注意したい。

 

ダートの得意なバイアスは

  • 馬場    軽い、やや軽い、標準、やや重い、重い
  • 上がり   速い、やや速い、標準、やや遅い、遅い
  • 枠     超内、内、フラット、外、超外
  • 直線の伸び 内、やや内、フラット、やや外、外
  • 前後    超前、前、展開次第、差し、超差し

と想定している。

馬場は重くても軽くてもあまり勝率は変わらないが、重いほうが穴が多い。

上がりは掛かった方が良い。ダートの勝ちパターンは先行抜け出しが多いため、決め手比べになりにくいバイアスが得意だ。

枠はあまり数字は変わらないが、少し1枠の成績が良い。レースが上手く揉まれても気にしない産駒が多いため、内枠でロスが少ない方が好走しやすい。

直線の伸びは内伸びの方が良い。レースが上手い産駒が多いため、差し馬が実力を発揮しにくい内伸びの方が好走しやすい。

前後は前有利の方が良い。スタートが上手い産駒が多いため、差し馬が実力を発揮しにくい前有利の方が好走しやすい。

ダートは上級条件を走る馬は少ないが、サンデーサイレンス系の種牡馬は年を取るとダートの勝率が上がることがある。ブラックタイドは馬格があるため、今後はダート向きにシフトする可能性があるため注意したい。

 

ディープインパクトが亡くなってしまったため、ディープに種付けする肌馬の一部がブラックタイドに回ってきているらしい。牝馬の質が上がるため今後は活躍馬が今まで以上に多く輩出される可能性もあるが、そもそもタイプがまったく違う。母父の血統の相性も兄弟で違うため、意外な肌馬から活躍馬が出るかもしれない。

 

 

 

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